大会長挨拶
第41回 日本障害者歯科学会総会および学術大会
大会長 米須 敦子
(一社)沖縄県歯科医師会 会長
第41回日本障害者歯科学会を開催するにあたりご挨拶を申し上げます。
「人生100年」、心身共に健康で生き続けることが大切と言われます。しかし身体機能や形態のどこかしらに「障害」のある方々は増加しています。多くの方はそれを受け入れて適応しながら生活されています。これからは「障害」の捉え方も特別なことではなく、「ノーマライゼーション」の考え方の元「スペシャルニーズ」と捉え、助け合う社会の構築が求められています。最も大切なことは、「正しい知識」を持って「必要な配慮」を行うことだと考えます。
その認識に立って、私たちは本大会のテーマを「~より身近な障害者歯科医療を目指して~」と致しました。
障害者歯科学会は、多くの専門家が集まり、障害者の口腔の健康を支え向上させる使命を担っています。この使命を果たすためには地域との連携が不可欠です。私たちは「より身近な障害者歯科診療」を実現するために、地域と共に歩み、協力し続けることの大切さを再考したいと考えています。
地域との連携は、障害者歯科診療へのアクセス向上につながります。患者とその家族、ケアプロバイダーとの協力により、より包括的かつ効果的な治療、さらに予防活動や啓発活動を推進する機会が広がります。
歯科医療機関、介護施設、学校、福祉団体との連携により、情報共有や教育の機会を増やし、専門知識の普及やトレーニングプログラムの提供が容易になります。これにより、地域全体で「障害者歯科診療」に関する知識やスキルが向上し、質の高いケアが提供できるようになります。
これらの連携の中で、私たちは「より身近な障害者歯科診療」を実現し、地域社会における歯科ケアへのアクセスを改善できると思っています。
41回大会の新たな試みとして、医療的ケア児や難病にもスポットを当てて行きたいと思います。現時点では、現場での歯科医療の対応が十分ではなく、これから啓発活動も含めて対策の強化、推進が必要と考えています。
地域と共に歩む「より身近な障害者歯科診療」の実現は、多くの人々にとって利益をもたらすものです。私たちは地域との協力を大切にし、障害者の口腔の健康を支えるために全力を尽くす覚悟です。共に努力し、共に成長し、共に障害者歯科診療を向上させる機会となることを切に願います。
師走は非常にお忙しい時期で恐縮ですが、12月の沖縄県は、台風襲来による影響が無く、暖かく過ごしやすい時期です。多くの方々にご参加いただき日頃の成果を存分に発表して頂き、情報交換の場となりますよう祈念してご挨拶とさせていただきます。
ご尽力いただきました関係各位に心から感謝申し上げます。